読書感想「【2021年・第19回「このミステリーがすごい! 大賞」大賞受賞作】元彼の遺言状」
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2021年度末に福島に帰省していた時に読みました。
テレビで見るのもいいけれど、せっかくだから小説を読んでみようと思って購入。
最近、母が読書に凝っているので、私が読んだあと貸してあげればよろこうかなと考えたこともひとつあります。
さて、感想…。
申し訳ありませんが、うーん、私好みではありません。
考えてみれば、ミステリと一言で言っても、その中でまた描写や書きぶり、等々でいろいろと分かれますものね。 私は、中学高校の頃は、犯人はどうやってこの犯罪を犯すことができたのか、逆の立場から言えば、この謎を探偵(役)はどのようにして解くか、とか、このような一見して完全犯罪に見えるものをどうやって構築したのか、または崩すのかというところに興味がありました。
そこには、あまり登場人物の心情的なところはどうでもよく、トリックの完璧さを求めたり、綺麗さを求めたりする自分がいました。
しかし、還暦近くなった自分は、それと対岸の方にいます。
トリックとか謎解きはともかく、その小説の登場人物の心情や内面を知りたいです。
だから、トリックや謎解きがシャープだったとしても、そこで展開される人間模様がどうしても表層的だったり、私の中でジャンプし過ぎたりすると、うーん、どうなんだろう…と感じてしまいます。 逆に、トリックが使い古されたり、明らかになった時に「なんだそんなもん?」と思ったりするようなものであったとしても、小説で描かれる人間模様が詳細に書かれているとそれだけで満足します。
人間模様とは、例えば、犯罪を犯した人間がどのような背景を持ち、どのような育ち方をし、どのような苦悩を持っていたかなどがエピソード等で描かれているとグッと身を乗り出して読みたくなるのです。
これ、物語の中心人物でなくとも、その場面でしか描かれないような登場人物であったとしても丁寧に描かれて言うとなるほどなぁという感じで夢中で読み進める私です。
今、「模倣犯」を聞いていますが、なんか…すごいです。 さて、そういう意味ではこの作品は私にとっては物足りません。
しかし、大賞作品ですから、多くの方にとっては面白いと感じたものなのでしょう。書き振りも、軽い感じの書き方をしています(悪い意味で言っているのではありません。今はこういう感覚や書き方がいいのだろうなぁと思います。私にはうーんと思ってしまうわけですが)。
今後のテレビドラマとの兼ね合いで言えば、逆に楽しみでもあります。
私が、もう少し…と思った作品をテレビではどう調理(アレンジ)してくれるのか。